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眼瞼下垂症手術後の修正~④過矯正(オーバーコレクション)の修正手術~兎眼の治療

こんにちは。
一瀬晃洋です。


前回ご紹介した症例の続きです。


▼手術計画
患者さんは「早く治したい」と思いますが、あせりは禁物です。もう一度手術が上手くいかないと修正がとても難しくなります。治療終了までの期間はかかりますが、失敗しない様に段階を踏んだ治療計画が必要です。兎眼を放置するとひどい角膜障害になりますので、まずは緊急にまぶたを下げる手術をしなくてはなりません。 最終的には両眼に数回の手術が必要となります。


<手術1> 右 腱膜後転(延長)術
 兎眼(眼が完全に閉じない状態)の治療 
↓数ヶ月後に

<手術2> 右 眼瞼形成術
 兎眼の再発の治療&まぶたの形を整える
  ↓数ヶ月に

<手術3> 左 部分切開法(小切開法)眼瞼挙筋腱膜前転術
右のまぶたになるべく合わせて仕上げる
(※手術2と3は、状況により順番を変更する)


◆兎眼修正術は難しい手術である
まぶたを下げる手術は挙げる手術に比べて難しく、まぶたの高さのコントロールは簡単ではありません。
左右差無く仕上げることが最終的な成功の鍵ですが、この症例ではもう片方のまぶたにも眼瞼下垂がありますので考慮しつつ治療を進める必要があります。 しかし、もう片方のまぶたを手術すると、両方のまぶたに影響がでてコントロールがさらに難しくなるのです。


◆手術1.右まぶたの修正手術(兎眼矯正術)

(※内側のまぶたが完全に閉じなくすきまがあいています。)


右兎眼修正術(眼瞼挙筋後転術)の内容

1.以前の手術の傷跡を切開
傷跡が少し目立っているが、この時点では皮膚の余裕が少ないために傷跡の皮膚を切り取らない。

2.眼瞼挙筋をゆるめる
まぶたの中をきれいに剥離してみると、眼瞼挙筋の内側部分はかなり短縮され瞼板と固定されていた。挙筋腱膜が存在しないので、簡単な処置では緩めることは出来ない。 挙筋を瞼板から外して、ミュラー筋から剥離をして、ミュラー筋の上方に固定し直す。結膜がたわんで拘縮を生じていたので解除する。

3.二重の調整
まつげの内反を修正して二重のひきつれを治すために、瞼板前組織の癒着をはずして移動、組織不足の部位に組織を移動。

手術時間:約40分


●術後20日



右:挙がり過ぎていたまぶたの内側は下がった。
兎眼→治癒(眼を閉じることは可能)
二重のひきつれ→改善
まつげの内反→改善
(→術前の写真を見る)

左:眼瞼下垂で開きが悪い状態 (→左右の眼の大きさの差の原因)
右眼は完全に閉じることができるようになりました。

手術の経過は良好です。が、しかし、、、、、
現状では左眼は眼瞼下垂 →まぶたの左右差が大きい
(社会復帰の妨げになっています。)
右の手術の経過がとても良いので、あとは左右がある程度そろえばすぐにでも社会に復帰できます。

次回は社会復帰にむけた手術計画の変更と修正手術についてお話しします。











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